「会社が認めないと辞められない」
「3か月前に言わないと退職できない」
「後任が決まるまでは残ってほしい」
退職を伝えた途端、会社からあれこれ言われる。
そんなこともあります。
もっともらしく聞こえる言葉もあるでしょう。
でも、法律上はそのまま受け入れなくてよい話もあります。
元労働基準監督官の視点から、退職時に誤解しやすい7つのことを整理しました。
会社の説明と法律のルールを分けて見ていきます。
退職ルールは、期間の定めがない契約と、有期労働契約で異なります。
ここでは、退職に関する一般的なルールを整理します。
すでに会社とトラブルになっている場合は、詳しい個別記事や専門窓口も確認してください。
①「会社が認めないと辞められない」は誤解

「退職届は受け取れない」と上司に言われた。
それでも、退職を諦める必要があるとは限りません。
期間の定めのない労働契約なら、会社の承認がなくても退職できるのが原則です。
民法627条では、労働者は退職を申し入れることができます。
原則として、申入れから2週間が経過すると雇用契約は終了します。
ただし、有期労働契約は別のルールです。
まず雇用契約書で、契約期間が決まっているか確認してみよう。
会社から「辞めさせない」と言われている方はこちら

②「いつでも必ず2週間で辞められる」は誤解

「退職は2週間前に伝えればいい」と聞いたことがあるかもしれません。
これは主に、期間の定めのない労働契約の話です。
契約期間が決まっている場合はどうでしょうか。
期間の途中で退職するときは、民法628条の「やむを得ない事由」があるかなど、別の確認が必要です。
1年を超える一定の有期労働契約には、別の特例もあります。
契約開始から1年を経過した後は、労働基準法137条によって退職できる場合があります。
かずき「退職=全部2週間」と覚えるのではなく、まず無期契約か有期契約かを確認してください。
③「就業規則に書いてあれば何でも従う」は誤解
就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書いてある。
そんな会社もあります。
円満に退職できそうなら、まずはその手続きを確認しておきたい。
ただ、就業規則に書いてあれば何でも有効というわけではありません。
たとえば、退職の申出を極端に早く求めたり、会社の許可がないと退職できないとしたりする規定。
退職の自由を著しく制限する場合は、その効力を個別に考える必要があります。
就業規則の手続きと、法律上の退職ルールは分けて考えたいところです。
④「後任が決まるまで辞められない」は誤解
「後任が決まるまで、もう少し待ってほしい」
退職を伝えたら、そう頼まれることもあります。
引き継ぎには、できる範囲で協力したい。
でも、後任がいつ決まるかは自分では決められません。
無期契約なら、後任がいないという理由だけで退職日を無期限に延ばさなければならないわけではありません。
希望する退職日と、そこまでにできる引き継ぎを分けて話してみよう。
⑤「辞めたら必ず損害賠償される」は誤解


「辞めるなら損害賠償を請求する」
そんな言葉を聞いたら、不安になりますよね。
ここは、あらかじめ決められた違約金と、実際に生じた損害への請求を分けて考えます。
「途中で辞めたら10万円払う」と、あらかじめ決めておく。
労働基準法16条は、こうした違約金や損害賠償額の予定を禁止しています。
ただし、会社が実際に受けた損害についてまで、あらゆる請求が禁止されるわけではありません。
退職したというだけで請求が認められるかどうかとは、別の話です。
具体的に請求されたら、その場で支払いを約束しないでください。
何を理由に、いくら請求するのか。
まず書面で確認し、必要なら弁護士に相談しましょう。
⑥「退職は必ず上司に直接会って伝える」は誤解
退職の意思は、上司と直接話して伝えるのが一般的です。
でも、上司と顔を合わせるのが怖い。
退職届も受け取ってもらえない。
そんな場合まで、対面にこだわる必要はありません。
人事や上司の上司に伝える方法があります。
メールや書面で退職の意思を残す方法もある。
状況によっては、郵送も選択肢です。
内容証明郵便なら、どのような文書を差し出したか、その内容と差出日を記録に残せます。
ただし、相手が受け取ったことまで内容証明だけで証明できるわけではありません。
必要に応じて配達証明も検討してください。
上司が怖くて退職を言い出せない方はこちら


⑦「退職前は有給を使えない」は誤解


「辞める人には有給を使わせない」と言われた。
それだけで有給を諦める必要はありません。
年次有給休暇は、要件を満たした労働者に法律で認められた休暇です。
原則として、労働者が取得する時季を指定できます。
会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に取得日を変更できる「時季変更権」があります。
ただし、退職日を過ぎた日に有給休暇を移すことはできません。
退職日までにほかの取得日がない場合、会社は時季変更権を使って取得を先送りできません。
退職前に残日数と希望する取得日を整理しておきたいところです。



退職日と有給消化はセットで考えましょう。先に残日数を確認しておくと、退職スケジュールを組みやすくなります。
会社から言われたことに不安を感じたら、まず3つに分けて確認する
会社に何か言われたら、すぐに「従わなければ」と思うかもしれません。
でも、最初に確認したいのは、その言葉が何に基づいているか。
次の3つに分けてみよう。
- 法律上のルールなのか
- 会社の就業規則なのか
- 単なるお願い・引き止めなのか
会社のお願いと法律上の義務は、同じではありません。
どれに当たるのかが分かると、次にどう動くかを考えやすくなります。
状況別に次の記事を確認する
ここまで、退職時の7つの誤解を見てきました。
実際にどう進めるかは、今の状況に合わせて確認してください。
これから会社へ退職を伝える方


会社から「辞めさせない」と言われている方


上司が怖くて退職を言い出せない方


退職全体の流れを確認したい方


まとめ|会社から言われたことを、そのまま「法律」だと思わない
退職を伝えると、会社からいろいろな説明を受けることがあります。
法律で決まっていること。
就業規則で定められた手続き。
会社からのお願い。
この3つは分けて考えたいところです。
- 会社の承認がなければ退職できないとは限らない
- 「2週間」は主に無期契約の原則
- 就業規則に書いてあれば何でも有効とは限らない
- 後任が決まるまで必ず残る必要があるとは限らない
- 通常の退職だけで当然に損害賠償されるわけではない
- 退職意思を伝える方法は対面だけではない
- 退職前でも年次有給休暇は利用できる
会社から言われたことを、すぐに受け入れる必要があるとは限りません。
気になる言葉があれば、法律なのか、会社のルールなのか、単なるお願いなのか。
そこから確かめてみてください。
※本記事は退職に関する一般的な情報です。
法律上の扱いは、無期・有期などの契約形態や契約期間、就業規則、個別の事情によって異なります。
具体的なトラブルは、総合労働相談コーナーや弁護士などへご相談ください。




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