「次の仕事が決まっていないけれど、退職して生活していけるだろうか」
「自己都合退職だと、失業保険はすぐにもらえない?」
退職したら、次の給料は入ってこない。
でも、家賃や食費の支払いは待ってくれません。
そこで気になるのが、失業保険をいくら・いつから・何日もらえるのかということ。
「辞めたら失業保険が出るはず」と思っているかもしれません。
でも、退職しただけでは受け取れない。
雇用保険の加入期間や、今すぐ働ける状態かどうかなど、確認する条件があります。
- 基本手当を受け取るための条件
- 自己都合退職ではいつから受給できるか
- 離職理由によって扱いが変わるケース
- 退職前に残しておきたい資料
会社から「自己都合退職になる」と言われた。
でも、その説明だけで雇用保険上の離職理由が決まるわけではありません。
この記事では、基本手当の受給条件、給付制限、離職理由の確認方法を順番に見ていきます。
まず確認|失業保険は「退職しただけ」では受け取れない
一般に「失業保険」と呼ばれるものは、雇用保険の基本手当です。
基本手当は、仕事を探している間の生活を支える制度です。
しばらく働くつもりがない場合はどうなるのか。
病気で今すぐ働けない場合も、原則として基本手当の対象にはなりません。
- 働く意思がある
- いつでも働ける能力がある
- 仕事を探しているが就職できていない
- 必要な雇用保険の被保険者期間を満たしている
たとえば、病気やけがで当面働けない場合は、「すぐ働ける状態」という基本手当の要件を満たさないことがあります。
かずき「今は体を休めたい。仕事探しは落ち着いてから」 そんな状態なら、基本手当をすぐ受けられるとは限りません。 病気などで働けない場合は、受給期間の延長についてもハローワークで確認してみてください。
退職後に使える制度全体から確認したい場合は、先にこちらの記事をご覧ください。


基本手当を受けるために必要な雇用保険の加入期間
原則として、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ただし、特定受給資格者または特定理由離職者に該当する場合は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも受給資格を満たす場合があります。
| 区分 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 原則 | 離職前2年間に通算12か月以上 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 離職前1年間に通算6か月以上でも可 |
ただし、被保険者期間は「会社に在籍していた月数」と同じではありません。
原則として、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。
11日未満でも、賃金支払いの基礎となった労働時間数が80時間以上あれば、1か月と数える場合があります。
「ちょうど1年勤めたから大丈夫」とは言い切れないんです。
欠勤や勤務日数によって、数え方が変わることもある。
判断に迷うなら、ハローワークで被保険者期間を確認してください。
基本手当はいくら・何日もらえる?
受給額と受給日数は一律ではありません。
離職前の賃金、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由などによって変わります。
- 離職前6か月の賃金
- 離職時の年齢
- 雇用保険の被保険者期間
- 自己都合・倒産・解雇などの離職理由
基本手当日額は、原則として離職前6か月の賃金をもとに計算します。
賃金日額に対する給付率は、おおむね50~80%。
60~64歳は45~80%で、年齢ごとの上限額もあります。
一般的な自己都合退職などの場合、所定給付日数は雇用保険の加入期間に応じて90日・120日・150日です。
| 被保険者期間 | 一般的な所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
倒産・解雇等による特定受給資格者などは、年齢や加入期間によって給付日数が異なります。
自己都合退職ではいつからもらえる?


正当な理由のない自己都合退職では、受給手続きをしてすぐに基本手当が振り込まれるわけではありません。
基本的には、次の順番で進みます。
離職票などを提出して求職申込みを行い、受給資格の決定を受けます。
受給資格決定後、まず7日間の待期期間があります。
2025年4月1日以降に退職した場合、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は原則1か月です。
「自己都合退職なら2か月待つ」と聞いたことがあるかもしれません。
でも、2025年4月1日以降の離職では原則1か月に短縮されています。
ただし、例外もあります。
- 正当な理由のない自己都合退職:原則1か月
- 過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合離職で受給資格決定を受けている場合:3か月
- 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇:3か月



ここでいう「1か月」は、振込までの期間ではありません。 あくまで給付制限の期間です。 7日間の待期や失業認定の手続きもあるので、退職日の1か月後に入金されるわけではありません。
「90日分もらえるなら、当面は大丈夫」
そう考えたくなるかもしれません。
でも、90日分が一度に振り込まれるわけではない。
最初の入金まで、預貯金で何か月生活できるか確認しておきたい。


教育訓練を受けると給付制限が解除される場合がある
2025年4月からは、自己都合退職者がリ・スキリングのために一定の教育訓練等を受けた場合、給付制限が解除される制度も始まりました。
ただし、どの資格講座やスクールでもよいわけではありません。
対象となる教育訓練や申出方法には条件があります。
利用を考えている場合は、受講する講座が対象になるかを事前にハローワークへ確認してください。
厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
「自己都合」と書かれていても離職理由を確認する


基本手当では、離職理由によって受給資格や給付制限、給付日数が変わることがあります。
「退職届は自分で出したから、自己都合で仕方ない」
そう思っていませんか。
退職届を自分で提出していても、雇用保険上の離職理由が一般的な自己都合退職になるとは限りません。
特定理由離職者になる可能性がある例
- 心身の障害、疾病、負傷などにより離職した
- 家族の介護など、家庭事情の急変で離職を余儀なくされた
- 通勤が困難になったことに正当な理由がある
- 一定の有期契約で、更新を希望したのに契約が更新されなかった
ただし、該当するかどうかには細かな認定基準があります。
「病気で辞めた」「介護で辞めた」という理由だけで、自動的に認められるわけではありません。
特定受給資格者になる可能性がある例
- 倒産・解雇などによって離職した
- 労働条件が採用時に明示された内容と著しく異なったため離職した
- 一定の賃金未払い・賃金低下を理由に離職した
- 一定基準を超える長時間労働があり離職した
- 著しい嫌がらせなどを受けて離職した
- 退職勧奨を受けて離職した
たとえば長時間労働では、離職直前6か月間について、連続する3か月で各月45時間、1か月で100時間、または連続する2か月以上の平均で月80時間を超える時間外労働など、具体的な基準があります。



会社が「自己都合」と書いたから、それで確定するわけではありません。 会社と本人の説明や資料を確認し、離職理由はハローワークが判断します。
詳しい範囲は、ハローワークの公式ページでも確認できます。
ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
離職理由に違いがあるなら、退職前から記録を残しておく


離職票には「自己都合」と書かれている。
でも、実際に辞めた理由は長時間労働やハラスメントだった。
そんな場合は、会社の記載だけを見て諦める必要はありません。
長時間労働なら勤怠記録。
労働条件の相違なら労働条件通知書。
ハラスメントなら、言われた日時や内容のメモ。
離職理由に関係する資料を、できれば退職前から整理しておきたい。
- タイムカード・勤怠記録
- 給与明細
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 会社とのメールやチャット
- ハラスメント等の日時・内容の記録
- 体調不良に関する診断書や受診記録
離職票が届いた後でも、記載された離職理由に異議がある場合は、資料を持ってハローワークに申し出ることができます。
会社とのトラブルそのものについて相談したい場合は、内容によって労働局の総合労働相談コーナーなど別の相談先が適切なこともあります。
離職票が届いたら、退職後の手続きを進める
基本手当の受給手続きでは、離職票などを用意してハローワークで求職申込みを行います。
離職票がなかなか届かない場合は、会社だけでなく管轄のハローワークへ相談することもできます。
退職後には、雇用保険以外の手続きもあります。
健康保険、年金、住民税。
いつ何を確認するかは、次の記事で整理しています。


早く再就職した場合は「再就職手当」の対象になることもある
基本手当をすべて受け取る前に再就職した場合でも、一定の条件を満たせば「再就職手当」を受けられることがあります。
| 基本手当の支給残日数 | 給付率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上 | 60% |
支給額の基本的な計算式は「支給残日数 × 基本手当日額 × 60%または70%」。
ただし、基本手当日額には再就職手当の計算に使う上限があります。
支給を受けるには、ほかにも要件があります。
「基本手当を最後までもらってから就職した方が得なのかな」
でも、早く再就職すると、再就職手当の対象になる場合もあります。
給付だけを理由に、働き始める時期を遅らせる必要はありません。



給付を最後まで受けることにこだわると、条件の合う求人を見送ってしまうかもしれません。 再就職手当の対象になるかも確認しながら、次の仕事を考えてみてください。
まとめ|「自己都合か」だけでなく、自分の離職理由と受給条件を確認する
「自己都合なら1か月」と分かっても、それだけでは退職後の生活費は計算できません。
- 基本手当を受けられる「失業の状態」か
- 必要な雇用保険の被保険者期間を満たしているか
- 離職理由は実態と合っているか
- 自己都合の場合、給付制限は何か月か
- 初回入金まで生活費をまかなえるか
正当な理由のない自己都合退職では、2025年4月以降の離職から給付制限が原則1か月になりました。
ただし、1か月後に振り込まれるという意味ではありません。
離職理由や過去の受給資格決定の状況によって、扱いが変わることもあります。
離職票の理由が実際と違うなら、手元の資料を持ってハローワークに伝えてください。
退職後には、健康保険料や住民税の支払いもあります。
病気などで働けないなら、傷病手当金など別の制度を確認したい。
まずは、基本手当が入るまでの生活費を見積もる。
そして、離職票に書かれた退職理由が実態と合っているかを確認してみてください。


※本記事は2026年9月時点の制度をもとに、一般的な情報を整理しています。基本手当の受給資格、離職理由、給付制限、所定給付日数などは個別の状況によって異なります。最終的な取扱いは管轄のハローワークへご確認ください。








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