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残業代が出ないのは当たり前?元労基が教える、サービス残業の違法性と請求のポイント

2026 10/13

「タイムカードを押したあとも仕事をしている」

「始業前の準備や朝礼には残業代がつかない」

「固定残業代だから、これ以上は残業代が出ないと言われた」

「うちの会社では、これが普通だから」

そう言われると、仕方がないと思ってしまうかもしれません。

でも、実際に働いた時間と、会社が記録している時間は同じでしょうか。

心当たりがあるなら、働いた時間と賃金計算に使われた時間が合っているか、一度見比べてみてください。

労働時間は、タイムカードの数字だけで決まるものではありません。

実際に使用者の指揮命令下に置かれていたかどうかで判断します。

会社の記録と、実際の働き方が違う。

では、何から確かめればいいんだろう。

この記事では、労働時間の考え方、固定残業代、残しておきたい記録、相談先を順番に見ていきます。

まず確認したい4つのこと
  • 実際に仕事を始めた時刻・終えた時刻
  • 会社が記録している始業・終業時刻
  • 給与明細に支払われている残業代
  • 雇用契約書・就業規則に固定残業代の記載があるか
目次

労働時間は「会社にいた時間」ではなく、指揮命令下にあった時間で考える

見落とされやすい労働時間の例

労働基準法上の労働時間は、使用者の指揮命令下に置かれている時間です。

会社から「これは勤務時間ではない」と言われた。

でも、その説明だけで決まるわけではありません。

実際に何をしていたのか、会社からどんな指示があったのかを見ていきます。

労働時間になる可能性がある例
  • 会社の指示による始業前の準備や着替え
  • 業務終了後に必要な清掃や後片付け
  • 参加が義務づけられている朝礼や研修
  • 電話や来客対応を求められている休憩時間
  • 明示または黙示の指示によって行っている残業

始業前の準備・着替え・朝礼

始業前に制服へ着替え、道具を準備してからタイムカードを押す。

その準備が会社から義務づけられているなら、労働時間に当たる場合があります。

参加が義務づけられた朝礼も同じです。

休憩中の電話番・来客対応

休憩中でも、電話が鳴れば対応しなければならない。

そんな状態では、本当に仕事から離れられているでしょうか。

対応を求められて待機している時間は、「手待時間」として労働時間に当たる場合があります。

「残業しろ」と言われていない残業

上司から「残業してください」とは言われていない。

でも、仕事が終わらず毎日残っている。

会社がその状況を把握しながら業務を続けさせているなど、黙示の指示が認められる場合もあります。

かずき

タイムカードを押したあと、上司に頼まれて片づけを続けていた。そんな時間まで、記録がないからと切り捨てられるとは限りません。

固定残業代があっても、追加の残業代が必要なことがある

固定残業代と追加の残業代の考え方

「固定残業代があるから、何時間働いても追加は出ない」

そんな説明を受けたことはありませんか。

固定残業代は、何時間残業しても一定額で済む制度ではありません。

たとえば、30時間分の固定残業代がある会社で、実際には毎月40時間ほど残業していた場合。

「超えた10時間分が、そのまま未払い」と単純には計算できません。

まず、実際の労働時間に対して法律上必要な割増賃金を計算します。

その額と、固定残業代として支払われた金額を比べる。

不足があれば、追加の支払いが必要です。

ただし、固定残業代の定めが有効かどうかや、計算の対象となる時間外・休日・深夜労働も確認しなければなりません。

固定残業代で確認したいこと
  • 固定残業代はいくらか
  • 何時間分として設定されているか
  • 基本給など通常の賃金部分と区別できるか
  • 固定残業代を超える分が追加支給されているか

「自分の固定残業代が何時間分なのか分からない」

そんなときは、雇用契約書や労働条件通知書を開いてみよう。

給与明細や就業規則も確認してみてください。

かずき

「固定残業代だから出ない」と言われたら、まず給与明細の金額と契約書の記載を見比べてみてください。説明だけで納得する必要はありません。

未払い残業が疑われるなら、まず記録を残す

未払い残業を確認するための記録

「毎日、遅くまで働いていました」

そう伝えるだけでは、具体的な時間が分かりにくい。

相談や請求の前に、何時まで働いていたかを確かめられる資料を探してみよう。

タイムカードが手元にない。

それでも、相談を諦める必要はありません。

メールの送信時刻や日報など、別の記録が手がかりになることもあります。

会社に残っている記録

確認したい記録
  • タイムカード・勤怠システム
  • ICカードなどの入退館記録
  • パソコンのログオン・ログオフ記録
  • 業務メールやチャットの送信時刻
  • シフト表・業務日報
  • 給与明細

自分でも勤務時間を記録する

会社の勤怠記録と、実際に働いた時間が違う。

そんなときは、自分でも毎日の始業・終業・休憩時間をメモしておきたい。

何の仕事をしていたかも一緒に残します。

たとえば、「19時30分から20時まで翌日の会議資料を作成した」と記録する。

「20時にPCを閉じた」だけより、何をしていたかが伝わります。

PCの起動時間がすべて労働時間になるわけではないからです。

スマートフォンの位置情報履歴や、家族へ送った「今から帰る」というメッセージ。

こうした記録が補助的な資料になることもあります。

会社のデータを保存するときは注意する

退職後は会社のメールや勤怠システムへアクセスできなくなることがあります。

ただし、証拠がほしいからといって、何でも持ち出してよいわけではありません。

顧客情報や営業秘密、ほかの従業員の個人情報を、無関係に大量に持ち出すことは避けてください。

何を保存してよいか迷う場合は、弁護士などへ相談してから進める方法もあります。

給与明細と実労働時間を照らし合わせる

記録を集めたら、実際に働いた時間と給与明細を見比べます。

確認する順番
  1. 実際の始業・終業・休憩時間を整理する
  2. 会社の勤怠記録と比較する
  3. 給与明細の時間外手当を確認する
  4. 固定残業代がある場合は、その内容を確認する
  5. 差がある場合は、その期間と金額を整理する

ただし、残業代は「退勤が遅かった時間」を足すだけでは計算できません。

法定労働時間や休日・深夜労働、変形労働時間制の有無などによって計算が変わります。

自分だけで計算するのが難しい場合もあると思います。

そんなときは、集めた記録を相談先へ持参してみてください。

未払い残業代には時効があるので、放置しすぎない

未払い残業代を含む賃金請求権には時効があります。

2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金は、法律上の時効期間が5年に延長されました。

ただし、経過措置として当分の間は3年とされています。

時効は原則、それぞれの賃金の支払期日から進みます。

古い月の残業代から、請求できなくなる可能性があるということです。

かずき

「退職してから考えればいい」と長く放置すると、古い賃金から時効を迎える可能性があります。気になる場合は早めに確認してください。

未払い残業について相談できる場所

未払い残業について相談するイメージ

労働基準監督署

残業代が支払われていないなど、労働基準関係法令違反が疑われるなら、労働基準監督署に相談できます。

相談内容や資料によっては監督指導が行われ、未払い賃金の是正につながる場合もあります。

ただし、相談したら必ず会社を調査してもらえるわけではありません。

労基署は、個人の代理人として会社と民事交渉する機関でもありません。

裁判上の代理人として賃金を回収する役割もありません。

相談前に、タイムカードや給与明細、雇用契約書などを整理しておくと話がしやすくなります。

自分でつけた勤務記録も持っていこう。

会社への具体的な請求や代理交渉が必要なら、弁護士への相談も選択肢です。

総合労働相談コーナー

「どこへ相談すればよいか分からない」「残業代以外の職場トラブルもある」という場合は、総合労働相談コーナーも利用できます。

弁護士

具体的に未払い残業代を請求したい、会社との交渉を任せたい、金額が大きいなどの場合は、弁護士への相談も選択肢になります。

退職する場合も、残業の記録は残しておく

未払い残業があるからといって、必ず今すぐ退職しなければならないわけではありません。

退職を考えているなら、勤務記録や給与明細を確認できるうちに整理しておきたい。

退職後は、会社のシステムに入れなくなることもあります。

ただし、会社のデータを無断で持ち出さないよう、保存する資料の範囲には注意してください。

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まとめ|まず「実際に働いた時間」と「支払われた賃金」を確認する

「昔からこうだから」

「みんな残業代をもらっていないから」

そう言われても、未払い残業代の問題がなくなるわけではありません。

今回のポイント
  • 労働時間は実際に使用者の指揮命令下にあったかで判断する
  • 始業前の準備や休憩中の電話番も労働時間になる場合がある
  • 固定残業代があっても追加の支払いが必要な場合がある
  • 勤怠・給与明細・メール・PCログなどを整理する
  • 賃金請求権には時効があるため放置しすぎない
  • 必要に応じて労基署・総合労働相談コーナー・弁護士へ相談する

まずは今日から、実際に働いた時間をメモしてみよう。

何時から何時まで働いたか。

その時間に、何の仕事をしていたか。

一行でも残しておけば、会社や相談先に状況を伝える手がかりになります。


※本記事は一般的な情報をまとめたものです。労働時間への該当性、固定残業代の有効性、未払い賃金の金額や請求可能性は、労働契約、就業規則、勤務実態などによって異なります。必要に応じて労働基準監督署や弁護士などへご相談ください。

労働問題・労基相談

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