退職前の有給消化が始まった。
出勤しなくなった時間を使って、次の仕事を探したい。
気になる求人を見つけ、面接の日程まで決まりそうです。

でも、まだ退職日前ですよね。面接や内定は大丈夫? 入社まで決めていいんでしょうか?
有給消化中でも、求人への応募や面接は原則として問題ありません。
ただ、内定が出た後は話が変わる。
転職活動を進めることと、新しい会社で働き始めることは別の話です。
最終出社日を過ぎていても、正式な退職日までは今の会社に在籍しています。
では、内定を受けたり、契約書に署名したりするのは?
新しい会社の入社日が有給消化中と重なったら、どうなるんだろう。
この記事では、応募・面接から内定、契約、勤務開始まで、迷いやすい場面を順に見ていきます。
- 有給消化中に求人検索・応募・面接をしてよいか
- 有給消化中に内定を受けてもよいか
- 雇用契約と勤務開始の違い
- 退職日前に新しい会社で働く場合の注意点
- 退職日と入社日をどうつなげるか
在職中と退職後のどちらで転職活動するか迷っている場合は、先にこちらを確認してください。


面接は受けていい。ただし「働き始める日」は別に考える
有給休暇は、休養のためだけに使うものではありません。
年次有給休暇を何に使うかは、原則として本人の自由です。
求人を探す、応募する、面接へ行く。
有給消化中だからといって、転職活動を控える必要はない。
ただし、内定が出て「明日から来られますか?」と言われたら、別の確認が必要です。
旧会社を退職する前に新しい会社で働き始めると、二つの雇用関係が重なる場合があります。
そのときは、両社の就業規則や社会保険の扱いも確認したい。
| 段階 | 有給消化中の考え方 |
|---|---|
| 求人検索 | 転職活動として進められる |
| 転職サービス登録 | 転職活動として進められる |
| 応募・面接 | 転職活動として進められる |
| 内定 | 勤務開始とは別に考える |
| 雇用契約 | 契約始期・勤務開始日を確認 |
| 勤務開始 | 退職日前なら追加確認が必要 |



「面接に行く」だけなのか、「もう働き始める」のか。この違いを押さえておけば、迷いが減ります。
有給消化中に求人へ応募して、面接を受けてもいい?
有給消化中なら、出勤していた時間を使って職務経歴書を書き直せます。
面接へ行くこともできます。
年次有給休暇の使い道は、原則として労働者の自由だからです。
転職活動をするという理由だけで、会社が年休の取得を認めないことはできません。
- 求人情報を調べる
- 転職サイト・転職エージェントへ登録する
- 履歴書・職務経歴書を作る
- 求人へ応募する
- 面接を受ける
- 労働条件を確認する
会社の端末・メール・情報は使わない
応募書類は、自分のパソコンで作る。
面接の日程調整には、個人のメールアドレスを使いましょう。
会社のPCや業務用メールを転職活動に使うのは避けたい。
顧客情報や社外秘の資料を持ち出すこともできません。
最終出社日を過ぎていても、正式な退職日までは旧会社との労働契約が続きます。
もう出勤しないからといって、退職済みになるわけではありません。
退職予定日と入社可能日は事実どおり伝える
最終出社日を迎えると、もう会社を辞めたような気持ちになるかもしれない。
転職先から「いつから働けますか?」と聞かれたら、まず正式な退職日を伝えよう。
そのうえで、実際に働き始められる日を相談します。
最終出社日と退職日は同じとは限りません。
例えば、最終出社日は3月20日。
正式な退職日が3月31日なら、その日付を伝えて入社日を相談します。
有給消化中に内定が出たら、どう返事をする?
有給消化中に「採用したい」と連絡が届いた。
うれしい一方で、まだ前の会社に在籍しているのに受けてよいのかと迷うかもしれない。
内定を受けることと、実際に働き始めることは別です。
返事をする前に、回答期限と入社予定日を確認しましょう。
労働条件や提出を求められる書類も、一緒に見ておきたい。
内定時に労働契約が成立する場合もある
ただし、「内定だから、労働契約はまだ成立していない」とは言い切れません。
採用内定の内容や通知書、誓約書、選考の経緯などによっては、内定時点で労働契約が成立していると判断される場合があります。
内定を受けた日、雇用契約を結ぶ日、契約が始まる日、実際に働く日は同じとは限りません。
「内定」「入社」といった呼び方だけで決めず、通知書や契約書の日付を見ておきたい。
契約書にサインする日と、働き始める日は違う
有給消化中に雇用契約書が届くこともあります。
契約書に署名した日と、初めて出勤する日は同じとは限りません。
契約の始期と実際の勤務開始日を、それぞれ確認してください。
例えば、3月中に契約書へ署名して、4月1日から働き始めるケース。
旧会社の退職日が3月31日なら、新しい会社で働くのはその翌日からです。
労働条件通知書・雇用契約書で日付をそろえる
- 契約期間・契約開始日
- 勤務開始日・初出勤日
- 研修開始日
- 就業場所・仕事内容と変更の範囲
- 勤務時間・休日
- 賃金・締日・支払日
- 試用期間
「入社日は後で決めましょう」と言われたまま、話を進めない。
決まった日付と条件は、書面で確かめておきましょう。
厚生労働省「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」
「有給中に研修へ来て」と言われたら
「まだ有給が残っているけど、先に研修だけ来られますか?」
そんな連絡が来たら、まず内容を聞いてみてください。
旧会社の退職日前に新しい会社で実際に働き始める場合は、二つの雇用関係が重なる可能性があります。
二つの会社に在籍すること自体が、直ちに違法になるわけではありません。
ただし、何も確かめずに研修へ行くのは避けたい。
- 旧会社と新会社の就業規則
- 副業・兼業の届出や手続き
- 競業・秘密保持への影響
- 実際の勤務時間
- 社会保険の加入要件
- 雇用保険の資格取得・喪失
「研修だけ」でも内容を確認する
「研修」という名前でも、実際に何をするかは確認したい。
説明を聞くだけなのか。
指示された作業をするのか。
拘束される時間や賃金の扱いはどうなるのか。
旧会社と新会社、勤務が重なったときの手続き
旧会社に在籍したまま新会社で働くなら、勤務時間に加えて社会保険・雇用保険の扱いも確認します。
複数の会社で働くと労働時間を通算する場合がある
労働基準法38条1項では、事業主が異なる複数の事業場で働く場合でも、一定の場合に労働時間を通算して扱います。
ただし、旧会社で有給休暇を取得した時間そのものを、新会社の実労働時間へ足すという意味ではありません。
二つの会社で実際に働くなら、勤務時間を双方へ正確に伝えてください。
両方で社会保険の加入要件を満たす場合
健康保険・厚生年金の加入要件を両方の会社で満たす場合は、「二以上事業所勤務」の手続きが関係します。
ただし、二つの会社に在籍するだけで、必ずその届出が必要になるわけではありません。
両社それぞれの勤務条件で、加入要件を満たすかが先です。
両方の適用事業所で被保険者となる場合は、本人が主たる事業所を選ぶ届出などが必要になります。
判断に迷ったら、勤務条件を示して年金事務所や加入先の健康保険に確認してください。
日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
雇用保険では、旧会社の資格喪失日と新会社の資格取得日を確認します。
勤務期間が重なる場合は、新会社の人事担当者やハローワークに相談してください。
入社日を選べるなら、退職日の翌日以降が分かりやすい
入社日を調整できるなら、私は旧会社の退職日の翌日以降から働く形をまず考えます。
二つの会社で働く期間が重ならず、就業規則や労働時間、社会保険の確認も整理しやすくなるからです。
もちろん、退職翌日以降でなければ違法という決まりはない。
ただ、日付をずらせるなら、兼業に関する確認を増やさずに済みます。
日付はこの順番で確認する
- 旧会社の最終出社日
- 有給消化期間
- 旧会社の正式な退職日
- 新会社の契約開始日
- 新会社の勤務開始日・初出勤日
退職前後の手続きを時系列で確認したい場合はこちらです。


迷ったときは、今どこまで話が進んでいるかを見る
有給消化中の転職活動を、すべて問題だと考える必要はありません。
まず、自分が面接・内定・勤務開始のどこにいるかを整理してみよう。
| 今の段階 | 確認すること |
|---|---|
| 求人検索・応募 | 個人の端末・連絡先を使う |
| 面接 | 正式な退職日・入社可能日を正確に伝える |
| 内定 | 回答期限・労働条件・入社予定日を確認 |
| 雇用契約 | 契約始期と勤務開始日を確認 |
| 退職日前に勤務予定 | 二重就業の確認をする |
| 退職翌日以降に勤務 | 退職・入社手続きをつなげる |
転職活動の進め方から知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。


有給消化中の転職活動についてよくある質問
- 有給消化中に面接を受けてもいいですか?
-
年次有給休暇の利用目的は原則として労働者の自由であり、求人検索や応募、面接などにも使えます。
会社の端末や秘密情報は使わず、退職日と入社可能日を正確に伝えてください。
- 有給消化中に内定をもらってもいいですか?
-
内定を受けることと、新しい会社で働き始めることは別です。
ただし、内定時点で労働契約が成立する場合もあるため、内定通知書や誓約書の内容を確認してください。
- 有給消化中に雇用契約を結んでもいいですか?
-
契約を結ぶ日と、実際に働き始める日は同じとは限りません。
契約始期・勤務開始日・初出勤日を確認してください。
退職日前に勤務する予定なら、兼業や社会保険なども確認が必要です。
- 退職日前に新しい会社で働くと違法ですか?
-
雇用関係が重なることだけで、一律に違法とはいえません。
ただし、双方の就業規則や兼業手続き、競業・秘密保持、労働時間、社会保険などは勤務開始前に確認してください。
- 有給消化中に転職先で働くと社会保険はどうなりますか?
-
旧会社と新会社のそれぞれで、健康保険・厚生年金の加入要件を満たすか確認します。
両方で被保険者になる場合は、二以上事業所勤務の届出が関係するため、年金事務所や加入先へ相談してください。
まとめ|面接は進めていい。入社日だけは先にすり合わせる
有給消化中に求人を探したり、応募・面接を進めたりすることは、原則として問題ありません。
内定の返事をする日、契約書に署名する日、実際に働き始める日。
この3つを分けて考えたい。
転職活動は有給消化中でも進められます。
内定通知や契約書の日付を確認します。
署名日ではなく、いつから実際に働くかを確認します。
就業規則、労働時間、社会保険などを確認します。
日程を調整できるなら、退職翌日以降の勤務開始は整理しやすい方法です。
特に覚えておきたいのは、「面接してよいか」と「退職日前に働き始めてよいか」は、まったく別の確認だということです。
退職日がまだ先でも、面接を先延ばしにする必要はありません。
正式な退職日を伝えたうえで、転職先と入社日・勤務開始日を相談しよう。
日付がはっきりすれば、次の仕事に向けた準備も進めやすくなります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。内定・労働契約の法的性質、就業規則、副業・兼業、競業・秘密保持、労働時間、社会保険、雇用保険の取扱いは、契約内容、退職日、勤務開始日、勤務条件などによって異なります。個別の取扱いは、勤務先、年金事務所、加入先健康保険、ハローワーク、必要に応じて専門家へご確認ください。













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