「転職したいけれど、求人を見る、履歴書を書く、会社を辞める……どこから始めればいいのか分からない」
会社員求人を見る前に、何を準備すればいいんだろう……
初めての転職活動では、やることが一度に見えて、最初の一歩を決めにくいものです。しかし、いきなり求人へ応募する必要はありません。
最初に行うのは、転職したい理由と、次の職場に求める条件を整理することです。会社を辞めることと、転職活動を始めることは同じではありません。在職中に情報収集や職歴の棚卸しを始めるだけでも、転職活動の第一歩になります。
この記事では、転職を考え始めてから求人探し、応募、面接、内定後の条件確認、退職、入社までの全体像を順番に整理します。まず今日やることと、次の段階で確認することを分けて進めましょう。
先に結論|転職活動は求人検索より前の整理から始める
転職活動は、求人へ応募した時点から始まるわけではありません。最初は、現在の状況と希望を整理するだけで十分です。
転職活動の全体像は、次の順番で考えると迷いにくくなります。
- 転職したい理由を整理する
- 在職中に進めるか、退職後に集中するか考える
- 希望条件に優先順位をつける
- 職歴・経験・スキルを棚卸しする
- 求人情報を集めて比較する
- 履歴書・職務経歴書を準備する
- 応募して面接を受ける
- 内定後に労働条件を確認する
- 退職日と入社日を調整する
- 退職・入社の手続きを進める


順番は完全に固定する必要はありません。求人情報を見ながら希望条件を修正したり、応募書類を作りながら強みを見つけたりすることもあります。大切なのは、求人を見つけた勢いだけで応募先や退職日を決めないことです。
| 転職活動の段階 | 主にやること | 次に確認したい記事 |
|---|---|---|
| 始める前 | 転職理由、現在の状況、活動時期を整理する | 在職中か退職後かを判断する記事 |
| 準備 | 希望条件、職歴、経験、強みを整理する | 本記事で全体像を確認 |
| 情報収集・応募 | 求人を比較し、応募書類を整える | 求人票の見分け方 |
| 面接 | 経験、志望理由、退職理由を説明する | 面接での退職理由 |
| 内定後 | 労働条件、入社予定日を確認する | 退職の進め方 |
| 退職・入社 | 引継ぎと必要な手続きを進める | 退職前後の手続き一覧 |
1.転職したい理由を整理する
最初に「なぜ転職したいのか」を書き出します。きれいな志望動機にする必要はありません。今の職場で困っていることや、変えたいことを具体的にするための整理です。
転職したい気持ちはあるものの、理由や希望条件を言葉にしにくい場合は、キャリアコーチングと転職エージェントの違いを確認すると、まず方向性を整理するのか、求人を探して応募へ進むのかを考えやすくなります。
不満をそのまま応募理由にしない
「残業が多い」「人間関係がつらい」「給与に納得できない」と感じることは、転職を考えるきっかけになります。ただし、不満だけでは次の求人を選ぶ基準になりません。
たとえば「残業が多い」という不満は、次のように求人選びの条件へ変換できます。
- 月の時間外労働はどの程度か
- 始業・終業時刻や勤務形態が明示されているか
- 固定残業代がある場合、対象時間と金額が分かるか
- 年間休日や休日の決まり方を確認できるか
「今の会社の何が嫌か」と「次の会社で何を確認するか」を分けると、同じ不満を抱えやすい求人を避ける材料になります。
転職で解決できることかを分ける
今の悩みが、会社を変えることで改善しやすいものかも整理します。仕事内容、勤務時間、勤務地、給与制度などは、転職先の条件によって変わる可能性があります。一方、自分が仕事に求めるものが曖昧なままだと、会社を変えても迷いが残ることがあります。
すぐに結論が出なくても問題ありません。まずは「今後も続けたいこと」「次は避けたいこと」「変われば働きやすくなること」の3つに分けて書いてみましょう。
2.在職中に進めるか、退職後に集中するか考える
会社を辞めなければ、転職活動を始められないわけではありません。在職中に希望条件を整理し、求人を見るだけでも始められます。
現在の職場・お金・時間の3点で考える
在職中に進めるか、退職後に集中するかは、次の3点を分けて確認します。
- 現在の職場を続けながら活動できる状況か
- 退職後から初回給与まで生活資金をつなげられるか
- 求人確認、書類作成、面接に使える時間があるか
在職中は給与を受け取りながら探しやすい反面、活動時間を確保しにくいことがあります。退職後は時間を使いやすい反面、転職先が決まる時期を確定できません。
どちらが一律に正解とはいえません。詳しい比較は、在職中と退職後のどちらで転職活動するかを判断する記事で整理しています。本記事ではメリット・デメリットを繰り返さず、転職活動全体の次の段階へ進みます。
心身の不調や安全上の問題は通常の比較だけで決めない
現在の職場を続けることで心身の不調が強まっている場合や、安全に関わる問題がある場合は、「在職中のほうが収入面で安心」という一般論だけで判断しないでください。
この記事では症状の診断や退職の可否は判断できません。必要に応じて医療機関や公的な相談窓口などへ相談し、休暇や休職を含め、安全を確保する方法を確認しましょう。
3.転職で譲れない条件を整理する
転職理由を整理したら、次の職場に求める条件へ置き換えます。条件を増やすことではなく、自分が求人を比較できる状態にすることが目的です。
希望条件を3段階に分ける
すべてを必須条件にすると、応募できる求人が極端に少なくなる場合があります。反対に、条件を決めずに探すと、給与や知名度など一つの情報だけで選びやすくなります。
希望条件は、次の3段階に分ける方法があります。
- 絶対に譲れない条件
- できれば満たしたい条件
- 他の条件次第で妥協できる条件
たとえば、勤務地は譲れない、給与は一定額以上を希望する、仕事内容は複数の候補から考えられる、というように整理します。家族との生活、通勤、健康面など、条件の理由も一緒に書くと優先順位を判断しやすくなります。
条件を確認できる言葉にする
「働きやすい会社」「雰囲気がよい会社」だけでは比較が難しいため、求人票や面接で確認できる言葉へ変えます。
たとえば「仕事と生活を両立したい」なら、勤務時間、時間外労働、休日、勤務地変更の範囲などへ分けます。「成長できる仕事」なら、担当業務、研修、必要なスキル、将来担当する可能性がある業務へ分けます。
条件は求人を見る前に仮決めし、実際の求人を確認しながら見直して構いません。
4.職歴・経験・スキルを棚卸しする
自己分析を大げさに考える必要はありません。人生を最初から振り返るのではなく、まず応募書類と求人比較に必要な範囲を整理します。
仕事内容を事実ベースで書き出す
これまでの勤務先ごとに、次の項目を書き出します。
- 在籍期間と雇用形態
- 担当した仕事
- 使用した知識、道具、システム
- 任された役割
- 工夫したこと
- 数字や事実で説明できる成果
- 得意だったこと、苦手だったこと
- 今後も続けたい仕事、避けたい働き方
最初から魅力的な文章にする必要はありません。事実を集めた後で、応募先が求める経験と関係する部分を選びます。会社の機密情報や個人情報は持ち出さず、説明できる範囲で整理してください。
公的ツールも必要な範囲で使う
職種ごとの仕事内容や求められるスキルを調べたい場合は、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagを利用できます。職業検索や自己診断、これまでの職歴と希望職業を比べるキャリア分析などが用意されています。
ツールの結果を転職先の正解として受け取る必要はありません。自分だけでは言葉にしにくい経験や、調べたい職業を見つける補助として使いましょう。
5.求人情報を集めて比較する
希望条件と経験を整理したら、求人情報を集めます。転職サイト、ハローワーク、企業の採用ページ、職業紹介サービスなど、情報源は一つに限定しなくて構いません。
求人を探し始める前に、転職サイトと転職エージェントの違いと使い分けを確認しておくと、自分に合う探し方を選びやすくなります。
最初は応募せず相場を知るだけでもよい
最初に複数の求人を見る目的は、すぐに応募先を決めることではありません。希望する職種にどのような仕事内容、給与、勤務時間、必要経験が示されているかを知るためです。
希望と現実に差があれば、条件の優先順位を見直したり、現在の経験を生かせる別の職種を調べたりできます。転職サイトや転職エージェントは選択肢ですが、登録すれば転職の悩みがすべて解決するわけではありません。提案を受けた場合も、自分の条件と照らして判断します。
求人票は給与以外も確認する
応募を考えるときは、少なくとも次を確認します。
- 仕事内容と変更される可能性のある業務
- 勤務地と変更の範囲
- 雇用形態と契約期間
- 基本給、手当、固定残業代
- 始業・終業時刻、時間外労働
- 休日、休暇
- 試用期間と期間中の条件
- 社会保険等の記載
- 求人情報と面接時の説明が一致しているか
固定残業代がある場合は、固定残業代を除いた基本給、対象となる時間数と金額、設定時間を超えた分の扱いを確認します。求人票だけで会社の実態をすべて判断することはできませんが、確認すべき点を見つける材料にはなります。
求人を見る具体的なポイントは、ブラック企業を求人票で見分ける記事も参考にしてください。
6.応募書類を準備して求人を選ぶ
応募したい求人が見えてきたら、履歴書と職務経歴書を準備します。すべての求人へ同じ内容を送るのではなく、応募先の仕事内容と求める人物像を確認して調整します。
履歴書と職務経歴書の役割を分ける
履歴書は、氏名、連絡先、学歴・職歴、資格、志望動機などの基本情報を伝える書類です。職務経歴書は、これまで担当した仕事、経験、スキル、成果などを具体的に伝えるために使います。
職務経歴書では、業務名だけを並べず、「何を担当し、どのような役割で、どのように取り組んだか」が伝わるように整理します。成果を数字で示せない仕事でも、担当範囲、件数、期間、改善した手順など、確認できる事実を使えます。
応募前に条件と選考予定を確認する
応募前に、求人条件が希望と大きく外れていないか、選考方法や必要書類、面接可能な日時を確認します。在職中の場合は、仕事へ支障が出ないよう予定を管理します。
応募数を増やすこと自体を目的にしません。比較できる数の求人へ応募しつつ、応募先ごとに「なぜ応募するのか」「何を確認したいのか」を短く整理しておくと、面接でも話しやすくなります。
7.面接で経験と転職理由を伝える
面接は、企業から評価されるだけの場ではありません。求人情報だけでは分からない仕事内容や働き方を確認し、自分がその条件で働けるかを判断する場でもあります。
退職理由と志望理由をつなげる
現職への不満を隠すために、事実と異なる説明を作る必要はありません。ただし、会社への批判だけで終わると、次の職場で何を実現したいのかが伝わりにくくなります。
「現在の職場で変えたいこと」「そのために行ったこと」「次の職場で実現したいこと」を分けて整理します。詳しい考え方は、面接で退職理由を説明する記事で確認できます。
面接時の説明を記録する
仕事内容、配属予定、勤務時間、休日、給与、試用期間などについて説明を受けたら、応募先ごとに記録します。求人情報と異なる説明があった場合は、何が変更されたのか確認してください。
面接担当者の印象だけで入社を決めず、複数の条件を見比べます。疑問点は、内定後の条件確認まで残さず、質問できる範囲で確認しておきましょう。
8.内定後は労働条件を確認してから退職へ進む
内定の連絡を受けても、その場で現在の会社へ退職を伝える必要はありません。まず、入社の判断に必要な条件を確認します。
口頭説明だけでなく労働条件通知書等を確認する
労働契約を結ぶ際、使用者には賃金、労働時間その他の労働条件を明示する義務があります。厚生労働省の案内では、労働契約締結時の明示事項に加え、2024年4月から就業場所・業務の変更の範囲なども明示事項に加わっています。
内定後は、労働条件通知書や雇用契約書などで、次の項目を確認します。
- 契約期間と雇用形態
- 就業場所、仕事内容とそれぞれの変更の範囲
- 入社予定日
- 基本給、手当、固定残業代、給与支払日
- 始業・終業時刻、休憩、時間外労働
- 休日、休暇
- 試用期間と期間中の条件
- 退職に関する事項
求人票は応募時の重要な情報ですが、最終的な労働条件は契約時の書面等で確認します。求人時や面接時から条件が変わった場合は、変更点と理由を確認し、納得できるか考える時間を取りましょう。
内定承諾・退職申出・入社日の順序を整理する
内定後は、条件確認、入社意思の回答、現在の会社への退職申出、引継ぎ、入社という順序を整理します。ただし、退職申出の時期や必要な手続きは、雇用形態、契約期間、就業規則、個別事情によって異なる場合があります。
退職日を応募先と約束する前に、現在の会社の就業規則や雇用契約を確認します。退職の伝え方、有給休暇、引継ぎなどは、損しない退職の進め方で詳しく整理しています。
9.退職・入社の準備をする
労働条件と入社予定日を確認したら、現在の会社と新しい会社の手続きを進めます。退職日と入社日の間に空白があるかによって、確認する内容が変わります。
退職日と入社日、初回給与日を確認する
退職日の翌日から新しい会社へ入社するとは限りません。空白期間がある場合は、健康保険、年金、住民税、雇用保険などの手続きが関係することがあります。雇用形態、社会保険の加入状況、退職日と入社日などにより扱いが異なるため、勤務先や各窓口へ確認してください。
退職後に転職活動する場合は、再就職日だけでなく、最初の給与が実際に振り込まれる日までの資金を確認します。入社しても、給与締日と支払日の関係で初回給与まで期間が空くことがあるためです。詳しい計算は、退職後から初回給与までの生活費を計算する記事で確認できます。
退職前後の書類と公的手続きを確認する
現在の会社から受け取る書類、新しい会社へ提出する書類、空白期間に必要な手続きを一覧にします。手続きの要否や期限は状況によって異なります。
退職前から退職後までの流れは、退職前後の手続き一覧で時系列に整理しています。本記事では、転職活動の全体像と退職・入社の接続までを扱い、各制度の詳細は重複して説明しません。
有給休暇中の活動と新しい会社での勤務開始は分ける
有給休暇中に求人を探す、応募する、面接を受けることと、現在の会社に在籍したまま新しい会社で実際に働き始めることは別の問題です。
後者は、現在の会社と新しい会社の就業規則、兼業の扱い、労働時間、社会保険などが関係する場合があります。「有給休暇中だから自由に入社できる」「二重在籍は一律に問題ない」とは判断せず、両社へ必要な確認をしてください。
有給消化中に転職活動を進める場合の注意点では、面接・内定・雇用契約・勤務開始の違いを段階別に整理しています。
初めての転職活動でよくある質問
- 転職活動は何から始めればいいですか?
-
いきなり応募するのではなく、転職したい理由と次の職場に求める条件を書き出すところから始めます。今日できることとして、今の職場で続けたいこと、変えたいこと、次は避けたいことを一つずつ書いてみてください。
- 転職先が決まる前に退職してもいいですか?
-
一律には判断できません。現在の職場を続けられる状況、転職活動に使える時間、退職後から初回給与までの資金を分けて確認します。先に退職する場合は、手続きと活動計画も整理してください。
- 在職中の転職活動は会社に伝えますか?
-
伝えるかどうかは、会社との関係や就業規則、活動方法などによって判断が変わります。勤務時間や会社設備を使わず、現在の業務や機密情報の取扱いに支障が出ないように進めることが基本です。包括的に「必ず秘密でよい」とは判断しません。
- 転職活動は何か月前から始めますか?
-
必要な期間は、希望職種、求人の時期、選考回数、在職中か退職後かなどで変わります。マイジョブ・カードでは在職中の転職活動期間として3か月程度を一つの目安としていますが、全員に当てはまる期限ではありません。準備や情報収集は、退職日を決める前から始められます。
- 内定が出たらすぐ退職を伝えていいですか?
-
まず労働条件通知書等で仕事内容、勤務地、給与、勤務時間、休日、試用期間、入社予定日などを確認します。そのうえで、現在の会社の就業規則や雇用契約を確認し、退職申出と入社日の順序を調整してください。
まとめ|今日始めるのは転職理由と希望条件の整理
転職活動は、会社を辞めることや求人へ応募することから始めなくても構いません。最初に転職理由と希望条件を整理し、現在の職場を続けられる状況、お金、活動時間を確認します。
- 転職理由を、次の求人で確認する条件へ変える
- 希望条件を「譲れない・できれば・妥協できる」に分ける
- 職歴と経験を事実ベースで棚卸しする
- 求人票と面接時の説明を比較する
- 内定後は労働条件を書面等で確認してから退職へ進む
- 退職後に活動する場合は初回給与日までの資金を確認する
今日すべてを終える必要はありません。まず「今の職場で変えたいこと」と「次の職場で確認したいこと」を一つずつ書き、次の行動を決めましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。労働条件、退職手続き、兼業、社会保険等の扱いは、雇用形態、契約内容、就業規則、加入状況、退職日・入社日、個別事情によって異なる場合があります。実際の条件と手続きは、勤務先、応募先、公的窓口等へご確認ください。












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