「仕事を辞めたい。でも、収入がなくなったら生活できない」
退職したあとの家賃や生活費を考えると、辞める決心がつかない。
そんな人もいると思います。
退職前後には、条件を満たせば使える公的な制度があります。
でも、失業保険を調べたら「すぐに働けること」が条件だった。
今は体調を崩して働けない。
そんなとき、どうすればいいんだろう。
「退職すれば何か給付金がもらえる」とは限りません。
まずは、今の自分の状態に合う制度があるかを確認したい。
この記事では、退職前後に確認したい制度を、働ける状態かどうかから整理します。
先にどこへ相談すればいいかも見ていきましょう。
- 退職後、すぐに働ける状態か
- 病気やけがで働けない状態か
- 雇用保険の加入期間はどのくらいか
- 退職理由は何か
- 退職後の生活費を何か月分確保できるか
健康保険、年金、住民税、必要書類も気になる。
退職前後の手続きをまとめて確認するなら、こちらの記事からどうぞ。

退職前後に確認したい代表的なお金の制度

退職前後に利用できる可能性がある制度は、一つではありません。
- 雇用保険の基本手当
働く意思と能力があり、求職活動をしている人が一定の要件を満たした場合に支給されます。 - 傷病手当金
業務外の病気やけがで働けず、一定の要件を満たした場合に健康保険から支給されます。 - 再就職手当
基本手当の受給資格がある人が、所定給付日数を一定以上残して早期に安定した職業へ就くなど、要件を満たした場合に支給されます。 - 住居確保給付金
離職や収入減少などで住居を失った、または失うおそれがあり、収入・資産・求職活動などの要件を満たす場合に利用できる制度です。
どれも「退職した人なら必ずもらえるお金」ではありません。
制度ごとに、目的も受け取れる条件も違います。
今の自分に当てはまりそうなものはあるだろうか。
見つかったら、窓口で具体的な条件を確かめてみよう。
まず「今すぐ働ける状態か」で分けて考える
特に混同しやすいのが、傷病手当金と雇用保険の基本手当です。
- 働くことができ、仕事を探している → 雇用保険の基本手当を確認
- 病気やけがで働けない → 傷病手当金などを確認
この二つは目的が違う制度です。
「同じ期間に両方もらえば得」という話ではありません。
退職後すぐに求人へ応募できる人。
一方で、医師から療養を勧められている人。
まず確認したい制度は、それぞれ違います。
「辞めたら何がもらえるか」より先に、今の状態から考えてみよう。
働ける状態なら、まず雇用保険の基本手当を確認する
一般に「失業保険」と呼ばれることが多い制度の中心が、雇用保険の基本手当です。
退職すれば自動的にもらえるものではありません。
雇用保険に加入していた期間や、働く意思・能力、求職活動などの条件があります。
原則として、離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。
倒産や解雇など、一定の離職理由では要件が異なる場合があります。
離職前1年間に通算6か月以上という条件が適用されるケースも。
離職票を受け取ったら、加入期間と離職理由をハローワークで確認してください。
自己都合退職では給付制限がある場合がある
正当な理由のない自己都合退職では、7日間の待期に加えて給付制限があります。
2025年4月1日以降の退職では、給付制限は原則1か月です。
ただし、一定期間内に正当な理由のない自己都合退職を繰り返している場合などは、3か月となることがあります。
また、2025年4月以降は、一定の教育訓練等を受けた場合に給付制限が解除される制度もあります。
雇用保険の基本手当を詳しく確認したい方はこちら

病気やけがで働けないなら、傷病手当金を確認する

病気やけがで働けない。
そんなときは、健康保険の傷病手当金を確認したい。
業務外の病気やけがで仕事に就けず、給与が支払われないなどの要件を満たす場合に対象となります。
1日あたりの支給額は、原則として標準報酬月額をもとに計算した額のおおむね3分の2です。
支給期間は、支給開始日から通算1年6か月です。
退職後も継続して受けられる場合がある
退職後も傷病手当金を継続して受けるには、主に次の条件を確認します。
- 退職日までに、対象となる健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あるか
- 退職時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあるか
協会けんぽでは、退職日に出勤した場合、資格喪失後の継続給付を受ける条件を満たさないと案内しています。
退職後に気づいても、退職日の働き方はやり直せません。
退職後も傷病手当金を受けたいなら、退職前に加入中の健康保険へ確認しておきたいところです。
かずき心身がつらく働けない状態なら、「退職後に失業保険をもらおう」と急ぐ前に、まず傷病手当金の対象になるか確認してください。
働けない状態が長引くなら、雇用保険の受給期間延長も確認する
雇用保険の基本手当は、働く意思と能力があることが前提です。
病気やけがなどで引き続き30日以上働くことができない場合は、基本手当をすぐ受けるのではなく、受給期間を延長できる場合があります。
療養が長引きそうなら、傷病手当金だけでなく雇用保険の受給期間延長も確認したい。
ハローワークで、申請できる時期や必要書類を聞いておきましょう。
早く再就職した場合は「再就職手当」の対象になることがある


基本手当を受けられる人が早めに再就職した場合、一定の要件を満たせば再就職手当を受けられることがあります。
基本手当の所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就くことなど、複数の要件があります。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上 → 支給残日数×基本手当日額×70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上 → 支給残日数×基本手当日額×60%
基本手当日額には再就職手当の計算上の上限があり、支給にはほかにも要件があります。
「基本手当を全部受け取ってから働く方が得」とは限りません。
再就職が決まりそうなら、再就職手当の対象になるか確認しておこう。
届出や申請の手順も、ハローワークで聞いておくと安心です。
家賃の支払いが難しい場合は「住居確保給付金」も確認する
離職や収入の減少などで、住居を失った、または失うおそれがある場合には、住居確保給付金を利用できる可能性があります。
家賃相当額について一定の上限まで支給される制度ですが、収入・資産・求職活動などの要件があります。
「来月の家賃を払えるか分からない」
そんな状況なら、ほかの給付金の入金を待つ前に相談したい。
支給額や要件は地域・世帯の状況で異なります。
お住まいの地域の自立相談支援機関や自治体へ確認してください。
退職理由によって雇用保険の扱いが変わることがある


自分から退職を申し出た場合でも、すべてが同じ「自己都合」として扱われるとは限りません。
一定の長時間労働や、上司・同僚などから著しい冷遇や嫌がらせを受けたことなどが原因で離職した場合、特定受給資格者などに該当する可能性があります。
離職票の内容に違いがある場合はハローワークで伝える
離職票には「自己都合」と書かれていた。
会社がそう書いたなら、もう変えられないんだろうか。
そう思うかもしれません。
でも、離職理由は会社の記載だけで最終決定されるわけではありません。
会社と本人の説明が違う場合は、ハローワークが主張や資料などを確認して判断します。
私は労働基準監督官を経験しましたが、離職理由を決める立場ではありません。
最終的に判断するのはハローワークです。
- 勤怠記録
- 給与明細
- 会社とのメールやチャット
- ハラスメントについて残した記録
- その他、離職理由を確認できる資料
長時間労働が退職の理由なら、勤怠記録や給与明細が説明の材料になります。
離職票の内容が実際と違うと感じたら、そのまま諦めないでほしい。
手元の記録を持って、ハローワークへ事情を伝えてください。
「給付金を最大化する」というサービスは慎重に判断する


退職前後の不安につけ込むように、「給付金を最大化できる」「長期間必ず受給できる」と強調するサービスもあります。
しかし、公的給付は、それぞれの制度の要件を満たした人に支給されるものです。
申請時には、健康状態、就労状況、離職理由、求職活動などを事実どおりに申告する必要があります。
- 具体的に何をしてくれるサービスなのか
- 料金はいくらか
- 「必ず受給できる」などの説明をしていないか
- 事実と違う申請を勧められていないか
- 自分で公的窓口へ確認すれば解決できないか
給付金だけでなく「いつ入金されるか」まで考える
給付制度を調べるとき、入金されるまでの期間は見落としがちです。
使えそうな制度が見つかった。
でも、退職直後にお金が入るとは限りません。
入金より先に、家賃や保険料の支払日が来ることもあります。
家賃、食費、健康保険、年金、住民税などを含め、手元のお金で何か月生活できるのかも確認しておきましょう。
退職後に必要な生活費を計算したい方はこちら


まとめ|「何がもらえるか」より、自分がどの状態かを確認する
退職後のお金について調べると、制度が多くて分かりにくく感じるかもしれません。
まずは、自分の状態から制度を分けて考えてみてください。
- 働けて、仕事を探せる → 雇用保険の基本手当
- 病気やけがで働けない → 傷病手当金など
- 早く再就職が決まった → 再就職手当
- 家賃の支払いが難しい → 住居確保給付金
- 離職理由に事情がある → ハローワークで離職理由を確認
制度が使える可能性だけで退職日を決めず、支給までに生活費をいくら用意する必要があるかも確認しましょう。
退職前後のお金・書類・手続きをまとめて確認するなら


退職後の生活費を具体的に計算するなら


※本記事は一般的な制度の概要をまとめたものです。実際の受給可否、支給額、支給期間、手続きは、被保険者期間、健康状態、離職理由、世帯収入などによって異なります。雇用保険はハローワーク、傷病手当金は加入している健康保険、住居確保給付金は地域の自立相談支援機関などへ確認してください。








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